ナチスの愛したフェルメール
おはようございます。
今日は天才贋作画家ハン・ファン・メーヘレンの半生を描いたオランダ・ベルギー・ルクセンブルク合作の映画「ナチスの愛したフェルメール」を観てみました。
今作も前回レビューしたパガニーニと類似する部分があり、才能の有無が大きなテーマになっているような気がします。
自分の描いた絵が独創性や創造力、個性がないと批評されてしまう主人公はオランダの批評家達への復讐の為に贋作の技術を高めていきます。
少し調べてみると分かるのですが、ファン・メーヘレンは年代を古く見せる為クラクリュールと言う絵の具のヒビのようなものを作る技術に凄まじい研鑽があり、その熱意は本物だった気がします。
彼の絵は専門家達を騙し、ナチスの高官に販売したことで罪を問われ、自ら贋作と話したことでやっと贋作だと判明したのです。
多くの画家が生前には評価されなかったり、不当な評価を得ていますが彼もまた同じく、フェルメールの絵画を模して描かれた作品は死後に評価されており「エマオの食事」は今も美術館に展示されているそうです。
・雑感
認められない天才の激情は愛する人に対しても強く現れていて、略奪愛で得た後に妻になるヨーランカの腕を力任せに掴むシーンは印象深いものがあります。
画家と言えば裕福なパトロンがいたり、いなくてもどこか物静かに生きているイメージが強かったのですが、彼は実に苦心して悶えるように描かれています。
現実は小説より奇なりと言いますが、まさにそれで。ドラマチックなストーリー性と雰囲気のバランスがちょうどいい作品だと思いました。