the longest day

アラサーが映画レビューを100本ノックしてます。基本はゆる〜く、時に真面目に。コンテンツってなんなのか紐解いていきたいと思う。

Dangerous Beauty

おはようございます。

今日はマーガレット・ローゼンタールの伝記小説を元に制作され1998年にアメリカで公開された映画「Dangerous Beauty」を観てみました。

ーー1583年のベネチア、ヨーロッパ随一の富と退廃の都では、女性は男性の所有物だった。そんな時代に自由に生きた女性の実話であるーーと、オープニングは始まります。

水の都と言われるベネチアの優雅な川に華やかな船が何艘も流れ、しかし楽園はないと語ります。

ヒロインのベロニカは貴族出身であるマルコと恋に落ちますが「結婚は契約よ、愛は関係ないわ」と、母に言われてしまいます。マルコとの愛を確かめ合うものの、この時代では叶わぬ恋と思い知らされるベロニカ。しかし、母にとびきりの奥の手として高級娼婦になることをススメられたことで涙しながらも決意を固めていきます。

美しさと教養を身につけていくベロニカ。仕草や表情の作り方、音楽や踊り、立ち振る舞いや地政学までも学んでいき、夜の船出に出向きます。そこで紆余曲折ありながら即興詩を披露して脚光浴びていきます。

様々な男達に寵愛を受けるベロニカにマルコは嫉妬を覚えているようだけど、愛は燃え尽きていないようです。しかし、自分が結婚することが決まってしまうと酔っ払い、とても苦悩した表情を浮かべます。

そして、物語は剣戟と即興詩の戦いを経て、最高潮の盛り上がりを見せていきます。

・雑感

1.夜、詩作に励むベロニカの元に船上からマルコが愛の歌を歌い、ベロニカは微笑みます。その後、船上に二人、キスは嫌い?と聞かれて罪になるほど好きよ。と答えるシーンがとても良かった。

2.やや陰のある横顔、憂いに沈んだ目、時にしなやかな獣のような息遣いをするベロニカ、多彩に変化していく表情が魅力的です。

3.水の都ベネチアの美しい街並み、衣装や装飾品がとても華やかで、映像美としても素晴らしい映画だなと思いました。

リバティーン

おはようございます。

今日はジョニー・デップ主演、2005年に公開されたイギリスの映画「リバティーン」を観てみました。

冒頭、ジョニー・デップ扮するロチェスター伯爵の姿が暗がりの中に浮かび上がり、語りかけてきます。

"初めに断っておく、諸君は私を好きになるまい。男は嫉妬し、女は嫌悪し、物語が進むにつれて、どんどん私を嫌いになる"と。

それから場面は変わり、薄霧が立ち込める草原。貴族の男達が歩きながら会話をしています。建物に入るとロチェスター伯爵の話題になります。追放されていた彼をすぐに呼び戻せと。

そこで場面はロチェスター伯爵を映しますが、早速馬車の中で女性と戯れています。この間まだ5分少々。その後、彼は酒場に入り悪友と杯を交わすのですが、ロンドンを追放されていた理由を語ります。王の前で卑猥な詩を詠んだと。

そんな彼ですが、芝居小屋でお芝居を観ることが唯一の楽しみだったのです。ある日、彼が芝居を観に行くと観客にブーイングを受ける一人の女優エリザベス・バリーを目にします。そこで彼女の才能に気づき、個人指導を申し出たところから物語は変転していきます。

・雑感

1.ジョニー・デップがイギリス貴族の服を着ると普段より繊細な格好良さが現れますね。対をなすサマンサ・モートンは実に野生的な魅力があり、良いコントラストを描き出していると思います。

2.人生を楽しんでいるフリをしてる人だわ、と言われてしまうロチェスター、人にはそれぞれの地獄があることを思い出させます。自分なら動じてしまう気がするが、実に堂々とした態度は見習いたくなる。

3.ロチェスターが稽古をつける姿は真剣そのもので見応えがある。人は生きている間にこんなに真剣になれることは何度あるだろうかと考える。

4.苦味があり渋みがあり酸味が強い、安いワインを品なく飲み干したくなる作品だなと思いました。

昔々、アナトリアで

おはようございます。

今日は2011年に公開されたトルコ・ボスニア・ヘルツェゴビナ合作のクライム映画「昔々、アナトリアで」を観てみました。

今作は薄暗い部屋で三人の男が談笑しているところから始まります。犬の鳴き声、灰色の空、今にも雨が降り出しそうに鳴り響く雷の音、それらが混ざり合って物語への没入感を高めてくれます。

場面は変わって数台の車が闇夜を照らしながら、見渡す限り緑色の丘に乗り付けてきます。どうやら死体が埋まっている場所を探しているらしく、男ばかりのむさ苦しさもあり雰囲気は暗いです。犯人、警官、検察、医者など中年でやや小太りの人達が集まっています。

犯人は遺体を埋めた時に酔っ払っていた為か、死体は見つからず、叱咤されます。場所を何度か変えても一向に死体は見つかりません。

そして、昔々、アナトリアで、ひどい夜を過ごした。その夜はこうして始まった…。と一人が語ります。これがオープニングと言ったところでしょうか。

・雑感

1.脈略のない無駄話のような会話が多い。しかし重要かもしれない話も入り混じり、客観的な視線で見ていることを意識させられる。この感覚は中東の映画では最近流行っている感じがするし、個人的には結構好きなんだけどレビューするのは難しいですね汗

僕がレビューした中だと「草原の実験」や「ケシ畑の小さな秘密」に雰囲気が近いかなと思います。

2.闇夜の演出が多彩であり鮮明。鮮明と言う言葉が適切か分からないが、夜の薄暗さが生々しく人を感じさせてくれる。欧米でもなく、日本でもなく、第三の神秘性を知ることが出来た気がします。

3.静かな夜に一人で寛ぎながら観たい映画だと思う。なぜだか無性にアルコールが欲しくなりました。ストーリー性より雰囲気で映画を楽しみたい人にオススメの作品かなと思います。

フランシス・ハ

おはようございます。

今日はノア・バームバック監督による2012年のアメリカの映画「フランシス・ハ」を観てみました。

今作は陽気な音楽が流れる中、モノクロの映像で金髪の女性フランシスとメガネが印象的なソフィーが戯れ合うようなシーンから始まります。

様々な日常を二人で過ごしていく彼女達、ある日フランシスは彼氏と関係がギクシャクしていることを話し、別れ話をします。場面は次々と変わっていきます、パーティー会場、二人の住む家。フランシスはダンサーのレッスン場、スーパーマーケット、電車で移動してソフィーの会社の前、二人で食事をして、また電車で移動と、とにかくテンポが早い。が、それぞれのシーンが印象深く、気持ちのいいテンポと言えます。音楽も分かりやすいものが追従してくる感じで、場面を分かりやすくする助けをしてくれています。

ロダンサーを目指しているフランシス、親友のソフィーが婚約したのをきっかけに喧嘩してしまい、物語はスタイリッシュに進み、彼女は変わっていきます。

・雑感

1.長く続いた青春の終わりを思い出すようで、懐かしさと切なさが溢れてきます。強がって自分を取り繕うフランシス、共感を覚える方は多いのではないかと思いました。

2.モノクロで撮った現代の映画は初めてみたけど、とても綺麗に見えて同じモノクロでも新鮮な感じがしました。

3.エンドロールまで86分と短い映画だけど、時間以上に中身が詰まっている。前半の展開の早さ、メリハリのある物語の構成に引き込まれます。

4.青春を思い出したい人、アクティブな気分になりたい人にオススメしたい映画ですね。

ブログ二ヶ月目で思うこと。

おはようございます。

今日は一ヶ月目と同様に二ヶ月ブログを書き続けて思ったことを書いていきます。

1.毎日更新はなかなか大変?

これは一ヶ月目も書いたんだけど、今思えば一ヶ月目は軽くきつい時と激痛な時の波が結構あった気がします。今も激痛な時はあるけど、ほぼ平均的で少し安定してきたかなと思う。だいたい二カ月+αで習慣化するらしいので、もう一踏ん張りですね。

2.映画は二度観る。

これは映画レビュー特有の感覚ですが、一巡してから最初に戻ってまとめ始めると個人的に納得して、まとまってくるかなーと。

基本的にエンディングの内容についてはネタバレするべきではないと考えているものの、エンディングを加味した上であらすじをお伝えしたいなと考えると、このバランスになる気がします。

また、二巡三巡と完走すれば精度は上がるかも知れないけど、スピード感や瞬間的に想起する部分は減ってしまう気がします。

3.究極の起爆剤

これは僕個人に特化してることかも知れないけど、お腹が減っても食べないで書き上げるまで続けるとモチベーション高いです。

食事系記事も書いてるだけあって食べるのが人より好きだと思うのですが、そのフラストレーションが結構起爆剤になります。

4.モチベーションを切り替える

文章を書くと言う行為には基本的にモチベーションを積み上げていったほうがいいと思うんですが、一時の強い感情ではずっと走れません。若い頃はそうでしたが(汗

歳とって思うのは突っ走っている時にその後の反動を先読みして、限界の前にローギアに戻してやるべきかなと。

5.微調整はすぐやる。

これは半分は個人的課題なんですが、記事のレイアウトなどの変化は思いついた時にすぐやった方がいいです。統一感も大事だけど、まず1記事完成させてから気に入ればベースを変えたほうがいい。面倒な部分考えたり変に拘るより一つやってみたほうが得だと思う。

個人的課題の部分は、大きな変化もすぐに取り入れるべきだなと思っています。

・まとめ

ブロガーは3ヶ月で古参になるって読んだんだけど、全然初心者って感じですね。でも変に古参ぶるよりいいかなと思うので、僕はゆる〜く継続して行きたいと思います。

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5月に観た映画まとめ

おはようございます。

今月も早くも最終日と言うことで5月に観た映画をまとめてみたいと思います。

今数えたら5月も先月と同じく18作品をレビューしたようです。その中で個人的オススメベスト3+αを書いてみようと思います。

・第3位「ボヴァリー夫人

まず、何回も映画化されているストーリーが素晴らしい。よくある不倫の話と言ってしまえば陳腐になってしまうが、これぞ王道と言う古典の風格がある。夫人が徐々に転落していく姿は様々なことを考えさせられます。人間は誰でも負の一面を持っていて、それをどう抑えるべきなのか悩ましい。あと音楽や周りの風景、衣装も物語の質をすごく高めてくれていますね。

・第2位「キャロル」

女性同士の恋愛と言うテーマをとても繊細に描いている。原作はだいぶ昔なのに内容はかなり先鋭的。難しそうに思える配役を主演の二人が素晴らしい演技力でこなしている。

自分の価値観を豊かに、増やしたいと思った時に観たい映画かなと思いました。

・第1位「嵐が丘

悲劇の愛の物語。モノクロの映画は映像美として好みが分かれるところだけど、台詞回しの素晴らしさだけでこの作品は今月の一位にしたいと思いました。

胸の奥に響いてくる言葉達、やや芝居がかっているように聞こえる人もいるかも知れないけど、とても感情に訴えかけてきます。

行くべきか退くべきか迷っている人にオススメの映画です。

・個人的ベスト「赤い風車」

とにかく濃密。酒、愛、コンプレックス、絵描きとしての情熱、一人の人間としての矜持。これは一つの作品に詰め込める容量が溢れ出ていると思いました。

詳しくは昨日、一昨日と連日レビューしたので見て頂けると幸いですが、これは時間のある時にお酒を飲んだりして頭を空っぽにしてから観たい映画だなと思いました。

・まとめ

プライムビデオで無料で観れる作品は尽きてきたかと思ったけど、後半はかなり良い作品に巡り会えた気がします。1位はすぐに決まったんだけど、2.3位は何にするかだいぶ悩みました。

ロダン カミーユと永遠のアトリエ」も「タイピスト」もかなり良かったです。とくにタイピストは展開がドストレートなので、サクッと観たい人には良いかも知れません。

自分の好みは結構内容重めで懐古主義なんだなと、少し思いました。

今月は先月より視聴数多い気がしてたんですが、まさか五分とは思いませんでした。来月は尺の長い映画も観ていきたいなと思います。

・視聴作品リスト

1.ハンナ

2.アメイジング・グレイス

3.ニューヨーク眺めの良い部屋売ります

4.トータル・リコール

5.大統領の料理人

6.空海

7.????

8.キャロル

9.ブルゴーニュで会いましょう

10.嵐が丘

11.麗しのサブリナ

12.タイピスト

13.ロダンカミーユと永遠のアトリエ

14.マッチポイント

15.ある天文学者の恋文

16.ビックフィッシュ

17.ボヴァリー夫人

18.赤い風車

赤い風車に学ぶ言葉

おはようございます。

今日は昨日見た赤い風車がとても心に刺さったので、主人公アンリが語った素晴らしい言葉をまとめてみたいと思います。

1.飲み過ぎを咎められた時の言葉。

ーーサーカスには空中ブランコ、大統領には共和国、僕にはコニャックだーー

洒落が効いてる素晴らしい切り返しで、尚且つコニャックに対する愛を感じますね。自分でもこんな台詞言ってみたくなります。

2.警官からマリーを匿った時の言葉。

ーー性悪というだけで、無実の人をつき出せませんーー

一本筋の通ったアンリらしい弁明ですね。

3.家でも絵は描けると言われ、断った時の言葉。

ーー絵描きの友人がいるんだ、名前はゴッホ。夏の麦畑を描いているよ、目もくらむような、まぶしい太陽だ。僕には描けない。でも僕が描くような、貧困街の踊り子は彼には描けない。僕は娼婦のマリーを愛した。ーー

めっちゃ痺れる文句ですね。相手を知り自分を知るからこそ出る言葉だと思いました。

4.貧困街の踊り子のポスターを描いたことを伯爵である父に不名誉だと言われた時の言葉。

ーー申し訳ないけど、サインしたからには僕の作品なんだ。働いた経験のない父さんに何が分かる。時代遅れなんだよ、しきたりを打ち破って僕は働くんだ。ーー

少し省略してますが、アンリの志が強く表れていて好きな言葉ですね。

5.自分の絵を言われもなく批評された時の言葉。

ーー(この絵は)洋服を着ているところです。男性は夫です。結婚27周年を祝いに食事へ行くんですよ。息子と一緒に。中傷される理由はありません。悪というのは見る人自身に存在するものなのです。ーー

この言葉が個人的には一番爽快で、アンリの聡明さを感じましたね。素晴らしい。

・雑感

流行を追うのも大事なんだけど、本当に大事なのはなぜ流行したかを考えて次の流行を作ること。

人と同じことをしても流行は作れないわけだから、昔に置き去りになった何かを自分のものにして鍛錬するのも大事かなと思いました。温故知新ですね。