the longest day

アラサーが映画レビューを100本ノックしてます。基本はゆる〜く、時に真面目に。コンテンツってなんなのか紐解いていきたいと思う。

ツレがうつになりまして。

おはようございます。

今日は前から気になっていた2011年公開、日本のハートフル映画「ツレがうつになりまして」を観てみました。

視聴時間2時間1分 物語に入りやすいけど涙腺に来ますのでご注意。

・あらすじ

今作は一匹のカメレオンが一軒家の畳を這っているところから始まります。その視線の先で、ひとりの男性が朝ごはんを作っています。月曜日に作るメニュー、月曜日につけるネクタイが決まっているようです。彼がこの物語の主人公幹男で妻の晴子からはツレと呼ばれています。

幹男はイグアナのイグに食欲が羨ましいと話しかけ、まだ布団で眠っている晴子ことハルさんに声をかけると、家を後にします。

しかし、幹男は携帯を忘れてしまい、ハルが急いで携帯を持っていくと、幹男はゴミ捨て場に収集されたゴミをじっと眺めて、これみんな要らないんだよね、と呟き呆然としています。

そこから少しずつ幹男の様子がおかしくなっていきます。翌日の朝には死にたいと呟き、ハルに心配されて病院へ行くと、そこで鬱病と診断されます。激務とストレスが原因で、治るには半年から1年半かかると。しかし、幹男は会社を辞められないと言い、仕事を続けようとします。

一方、漫画家で結婚5年目のハルさんはややガサツなところもあるのだが、毎日を楽しんで生きているようです。

ある時、古道具屋で古い花瓶を見ていると、器が割れなかったことに価値があると言われ、その言葉を胸にしまいます。ハルは幹男を守るために会社を辞めないなら離婚すると告げます。そして、幹男は会社を辞めて療養することを決意します。

・雑感

1.作品の雰囲気が素晴らしかった。がんばらないことが許される優しさに満ちた世界観、ハルがツレに寄り添っていく姿に思わず涙腺が緩んだ。現実の厳しさとの乖離を感じるかも知れないが、現実もこんな優しい世界であってほしいと思った。日本人だからこそ感じるであろう日本映画の持つ独特の繊細さが際立った素晴らしい作品だと思う。

2.宮崎あおいのファッションがめちゃくちゃオシャレなのに、ナチュラルな感じでいい。重くなりそうなテーマなのに、どこか抜け感があり、暗くならないのは彼女の華やかなファッションが一役買っている気がする。こんな妻が居たら最高だなと思いました。

3.宮崎あおいをまじまじと見たのは初めてだったけど、実に東洋的な美を投影した顔立ちと雰囲気があり、彼女が主演する洋画も見てみたいと思いました。西洋の中にあったとしても、一輪の花として東洋らしい存在感を示せる数少ない女優の一人だと思いました。

4. 堺雅人の演技力も素晴らしい。宮崎あおいが素晴らしくてもカウンターパートが上手くなければ、ここまで良い作品にはならなかったと思う。実に緻密で人間味が溢れた演技力だなと思いました。

5.芸能人に疎い僕でも宮崎あおいは流石にわかる。有村架純桐谷美玲も名前と顔が一致してなかったけど、宮崎あおいは流石に分かる。

アニマル・ウェポン

おはようございます。

今日は久しぶりに自然の世界を覗いてみたくなったので、2019年公開のドキュメンタリー「アニマル・ウェポン」を観てみました。

視聴時間52分 楽に観れます。

・あらすじ

今作は何百万種もの生き物たちの中、独特の武装をしている数千種、角や牙のある生き物たちにスポットを当てていきます。

アメリカのモンタナ南西部、動物の武器だけ集めた場所があり、様々な角が並べられています。まるで骨で作られた白い森のようですが、ここは角の博物館です。

そんな中、一対の角の片割れを生物学者ダグ・レムエンが抱えていますが、とても巨大です。オスのアメリアカシカの枝角は2本セットで約9キロあり、毎年頭から生え落ち脊椎動物の骨組みの中で最も成長が早いことが紹介され、ほかの動物たちの武装についても触れていきます。

自然界の様々な武器は海の生き物にも、森の中の虫たちにも備わっており、攻撃だけではなく防御や用途不明のものもある。だが、今作は大きく成長していった武器のみにスポットを当てている。なぜ彼らはそんなに極端に武器のみを成長させていったのだろうか?

カブトムシ、クワガタ、サイ、カバ、カメレオン、フンコロガシ、シオマネキ、そしてメスのレンカクにスポットが当たっていきます。

・雑感

1.生々しくも美しい世界が映し出されている。何の為に生まれてきて、何の為に生きているのか、生物の原点を感じることが出来る。知ると言うまで深くはないが、意識を感じて、考えはじめると言う感覚が心地よい。

2.武装競争と言う言葉が出てくるが、これは人間界にも当てはまるなぁと、感慨深くなった。

動物たちの場合は強化しすぎた為に思わぬ代償を負うことになったが、人間の場合を想像してみると面白かった。宇宙人が来たら搾取される側になるかもしれない。

3.アニマルウェポンって言葉の響きが単純にかっこいい。男のロマン感ありますねぇ。 

映画 ビリギャル

おはようございます。

今日も日本映画を観ようと調べていたら、原作「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」が映画化されたビリギャルを発見したので観てみることにしました。パッケージがシンプルイズベスト。

今作は、塾講師の坪田がビリギャルこと工藤さやかの小学校時代を語るところからはじまります。やや過保護に見えるが子供に対して一生懸命な母あーちゃん、今の時代にはありえないいじめを許容するかのような学校の教育方針に疑問を投げかけます。

それから数年後、楽しい事だけを追って高校生になったさやか。夜はクラブに遊びに行き、授業も身に入らず、挙句に煙草を持ち歩いていたことが見つかって自宅謹慎になってしまいます。ちょうど夏休み前だったので、金髪に染めて、より一層ギャルになってしまいます。そんな時、母のススメで塾に通うことになったさやかは塾講師の坪田に出会います。

入校テストでは散々な結果だったものの、まずは目標を持つことが大事だと言われ、さやかはよく分かっていなかったものの坪田のススメで志望校を慶應義塾大学にきめます。

最初はやはり勉強が身に入らなかったものの、様々な意識改革があり、さやかは変わっていきます。

・雑感

今まで食わず嫌いだったのかなと思うくらい面白かった。エンタメ系映画ではあるのだけど、人が目標に挑む為の、人をやる気にさせる為のメソッドがたくさん詰まっている。人は否定されたらそこまでで、肯定されるからこそやる気になり、困難に挑み結果が出るのだなと。

すでに課題に挑んでいる人は共感できるし、何もない人も少し何かに挑戦したくなるかなと思いました。魔法のように見えることも魔法じゃなくて論理が働いていることを学びたい作品だと思いました。

あと有村架純さんが可愛い。すごいギャル感からの変化など、これをきっかけに見始めてもいいと思う。

ヒロイン失格

おはようございます。

今日は昨日観た「勝手にふるえてろ」がとても良かったので、また日本の映画を観てみようと思い、少女漫画が原作の映画「ヒロイン失格」を観ることにしました。この作品もタイトルにパワーがありますね。

今作は朝の登校風景の中、桐谷美玲さん演じる松崎はとりが幼馴染の寺坂利太と出会うところから始まります。

はとりは周りにいる学生達は皆モブキャラや通りすがりの通行人と言って、自分だけがヒロインだと断言します。そして、自分はヒロインだから自然な流れで、片思いしている幼馴染の利太と付き合えると思っています。

しかし、はとりの思いとは裏腹に、利太は不良に絡まれていた正統派ヒロイン安達未帆を助けて、付き合い始めてしまいます。

はとりは、とても現実を受け止められないで、もがいていると親友からもオーディションに受けていないのに、合格するわけないと言われ、更に追い討ちを受けます。

そんな時、はとりのことを気に入ったとんでもなくイケメンな弘光廣祐が現れて、物語は四角関係になり複雑になっていきます。

・雑感

1.学園物は役者さんの年齢的にきつい部分を感じるんだけど、桐谷美玲は年齢不詳な感じがして違和感が少なかったように思う。

2.桐谷美玲の顔芸がすごい。ザ・エンタメと言った感じで、こういう気楽に見られる映画もありだよなと思いました。

3.良くも悪くも日本映画の特徴が強い。

海外の映画は出演者の多くがストーリーを作っていき、チーム戦になっていることが多いが、日本の映画は一人の強い個性に任せて行きがちだと思う。それが一概に悪いとも言えないが。

あと原作から手を加えた時に骨格は維持しているが、結構無難な方向へまとまりがちなので、そこは踏み込んでほしかったなと思う。

原作ファンは映画化されただけで嬉しい部分もあるかも知れないが、原作の個性を強くだしたほうが面白かったように思う。冒険を犯しがたい国民性を感じました。

 

勝手にふるえてろ

おはようございます。

今日は、綿谷りささんの小説が原作の2017年に公開された日本の映画「勝手にふるえてろ」を観てみました。タイトルにパワーを感じて、久しぶりに日本の映画を観ました。

・あらすじ

今作は、24年間恋愛経験ゼロのOLヨシカが長年片思いしていた同級生の一宮(イチ)への思いを話すところから始まります。誰からも好かれるイチを遠くから見守ることで、自分はイチの周りに群がる他の人達とは違うと優越感に浸っていたヨシカ。

やや陰気な雰囲気があるものの、ヨシカはイチの話を始めると饒舌になり、その内面にある個性が浮かび上がってきます。いわゆる厨二病を拗らせたような感じなのに、時々とても鋭いことを話します。

そんな折、ヨシカは同じ会社の霧島(二)に告白されてハイテンションになります。しかし、その晩ヨシカは自宅でボヤ騒ぎを起こして、死ぬ思いをした事で、イチにもう一度会いたいと長年の恋を動かしたいと思い、同窓会を開くことを思いつきます。

そして、ついにイチと再会することになるヨシカ、物語はクライマックスを迎えていきます。

・雑感

日本の映画を観るのはずいぶん久しぶりで、最初はすごく違和感を覚えたけど、しばらくすると独特の世界観に引き込まれた。

日常の均衡が言葉と構成によって衝撃的に崩れ去っていく様は、綿谷りさの才気の片鱗が感じられる。この繊細さに触れてしまうと自分の日常に干渉してくるようで、さらに世界に引き込まれる。

海外の作品と比較すると分かりづらく感じられるかも知れないが、故郷に帰ってきたような気分になる。

人の心には、夜明けを迎えたのに、まだ明けることのない暗い感情があると思うのだけれど、それを解き放ってくれるような巧みさが、この作品にはあったと思う。素晴らしかった。

物語の前半に対してどう考えるかで評価は分かれると思うが、それが無ければこれほど後半に響いてくる作品にはならなかったと思う。

何かについて思いつめていて、胸が張り裂けそうな人にはぜひ観てほしい作品だなと思いました。

教授のおかしな妄想殺人

おはようございます。

今日はエマ・ストーン出演の映画が観たかったので、2015年にアメリカで公開されたコメディ映画「教授のおかしな妄想殺人」を観てみました。

今作は、ひとりの中年男性が車を運転しながら、大学に新任してくるところからはじまります。哲学を語る、彼が主人公のエイブです。そこにエマ・ストーン扮するジルが彼の説明を少し加えます。

新任してきたばかりのエイブは歓迎会に参加し、授業を行い、同僚達とのランチを断り、また授業を行い、授業の終わりにジルにレポートの出来を褒めて、話しかけます。

常にヴィンテージのシングルモルトを持ち歩き、哲学を語るエイブにジルは恋人がいるにも関わらず惹かれていきます。

やや陰鬱な雰囲気のあるエイブを心配して、ジルは金曜の夜のパーティーに誘いますが、ジルの彼氏ロイは面白くないようです。

そして、パーティーの当日、エイブは酔っ払ってロシアンルーレットを決めて周りを驚かせます。そんな彼の苦悩や繊細さがジルの心には響いたようで、二人は急接近していきます。

そんなある日、二人がレストランで会話をしていると、父親びいきの悪徳判事によって理不尽に親権を奪われそうになっている母親と、その親戚達の会話を耳にします。そこでエイブは母親に代わって悪徳判事の殺人をすることを考え、自分の人生に意味が生まれたと思いを募らせていきます。

エイブは夜には興奮して眠れないほど、ひたすら殺人計画を考え始めたことで快活になっていきます。一方でジルはロイに恋をしながらもエイブとの恋に夢中になっていきます。

・雑感

1.エマ・ストーンがセクシー&キュートで最高。こんな教え子が自分を好きでいたなら、合法にする為に結婚するしかないと思いつめそう。

前半中盤はナチュラルな感じがするけど、クライマックスの演技力が素晴らしい。

2.コメディ映画と言えるのか?個人的には悲喜劇と言うジャンルが相応しいと思う。

殺人と言う重いテーマに悲しさがあるのに、わりとあっさり観れる作品になっていると思う。

3.人生は意味をつけた後に始まる。今回はネガティブな目標で始まったけれど、強い意志を持って目標に向かうことで人生は躍動していくのがとても感じられた。

映画 マンボウ

おはようございます。

今日は名著マンボウはかすり傷で死ぬに感銘を受けていたところ(架空の名著)、映画「マンボウ」を発見したので、観ることにしました。

今作はウミネコの鳴き声と共に、一隻の漁船が漁をしているところから始まります。中年で小太りの男は漁を終えると家に帰り、着替えをして椅子で居眠りをはじめます。この男が主人公のケーセです。

ケーセは船を買う為に借金をしており、なかなかお金に困っているようです。また、学者を調査のために漁船に乗せてほしいと頼まれます。

漁船に乗ることになった生物学者ゲルトは意外にも女性で、相方のラースは熱を上げていきますが、こちらもなかなか上手くいきません。

一方で気のないようだったケーセは街の案内を頼まれるなど、ゲルトと仲良くなっていきます。ルールに厳しく周りから堅物扱いされていたケーセですが、彼女との出会いで少しずつ軟化していきます。

しかし、漁師達にとって漁の規制を測る生物学者のゲルトは疎ましい存在であり、ケーセも共に疎外感を味わいます。

更にお金の面でも苦しい状況を味わうことになったケーセは、ラースをクビにしなくてはならなくなり、その後大きく道を踏み外していくことになります。

・雑感

コメディ映画として紹介されている今作ですが、個人的にはヒューマン映画、もしくはドキュメンタリーに近いものだと思いました。クスっとした笑いよりも生活苦を目の当たりにして落胆することのほうが多かったです。

唯一マンボウの登場するシーンは幻想的だったのですが、それもなかなか短いシーンで基本的には生活感の強い映画でした。その作風は日本映画にかなり近いものがある気がしました。