the longest day

アラサーが映画レビューを100本ノックしてます。基本はゆる〜く、時に真面目に。コンテンツってなんなのか紐解いていきたいと思う。

言の葉の庭

おはようございます。

今日はちょっと気分転換して、さっと観れるものが観たいなぁと思い、2013年に公開された日本のアニメーション映画「言の葉の庭」を観てみました。

視聴時間47分 早足だけど胸に湧くものがある。

・あらすじ

今作は小雨が降り、池に小さな波紋を作っているシーンからはじまります。項垂れた新緑の木の葉が揺れています。

主人公の秋月孝雄は電車を降りると、雨の日を感じるために地下鉄には乗らず、歩きはじめます。行き着いたのは冒頭の池がある東屋、そこには朝から缶ビールを飲むひとりの女性、雪野百香里がいます。

タカオには将来靴を作りたいと言う夢があり、靴のスケッチをはじめますが、彼女とは以前にどこかで会ったことがあるような気がして話しかけます。彼女は一度はいいえと答えますが、会ったかもしれないと去り際に言い直します。

タカオは家に帰ると兄と夕飯を食べながら、母が戻っていないことを話します。晴れた日は地下鉄に乗って学校へ。雨の日が訪れるのを願っているようです。

そして、雨が降ると再び東屋を訪れ、ユキノに出会います。また缶ビールを飲んでいるユキノと、今度は少し話をします。雨の日にはまた会えるかもねと言われます。

そして、その日から梅雨入りでユキノとの逢瀬が早まって、想いもまた早まっていくようで、タカオは雨の日を願っていることを吐露します。

いつの間にか仲の深まっていく二人、七月になりなかなか来ない雨の日を待ちわびています。

久しぶりにユキノに会うと、いつもお弁当のおかずをもらっているからと靴の本を渡されます。一方タカオは今靴を作っているが、どうも上手くいかないと話します。するとユキノは靴を脱ぎはじめ、タカオはユキノの足を手にすると、とても丁寧に採寸していきます。

そして、梅雨が明けてしまい二人はしばらく会えなくなって、物語はじりじりとした展開を迎えていきます。

・雑感

この物語はタカオがユキノの足を採寸するシーンに全てが集約されている。靴は心の殻の暗喩であり、それを脱いで手に触れると言うのは神秘的で官能的なものが秘められているように感じる。全ての描写はその為にあったのではないかと。

最近はややネガティブな意見を受けているように思う新海誠監督だが、芸術的な何かを想像する為には、やはり強い欲求が必要なんではないかと思った。同時に恥じいることも必要だが、想像の源を断てば、人は死ぬだけだ。

谷崎潤一郎氏のことを少しだけ思い出しました。